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交通事故の示談とは

交通事故の示談とは、裁判を通さずに過失割合や慰謝料などの賠償額・賠償内容を当事者間で話し合い、合意することで決定する手続きです。
交通事故には、加害者の刑事責任を問う刑事裁判と、加害者に損害賠償を求める民事裁判がありますが、特に民事裁判は解決までに時間がかかり、裁判費用や弁護士費用も発生します。
そのため、多くの場合は、裁判ではなく示談を通じて早期解決を目指すのが一般的です。
示談にかかる期間
示談交渉にかかる期間は事故の状況によって異なります。
軽傷や物損事故の場合、示談交渉は2か月から半年程度で終わることが多いです。
しかし、後遺症が残る事故や死亡事故などの深刻な事案では、交渉が長引き、半年から1年程度かかるのが一般的です。
示談が成立すれば、その合意には法的拘束力が生じます。
一度示談書にサインしてしまうと、基本的に合意内容の撤回や再交渉はできません。
そのため、示談にサインする前には慎重な判断が求められます。
示談交渉の注意点
急いで示談交渉を進めないこと
被害者側としては、示談交渉を急ぐ必要はありません。
損害賠償請求権には、自賠責保険の請求権が2年、民法上の損害賠償請求権が3年の時効があります。
そのため、怪我が完治するか、症状固定となるまで待ってから示談交渉を開始するのが賢明です。
加害者側の保険会社は、示談を急ごうとすることが多いですが、これは示談が成立すればその後の治療費の支払いを免れるためです。
また、弁護士が介入して示談金が増額されるのを避けたいという意図もあるため、被害者としては焦らず慎重に交渉を進めることが重要です。
損害賠償請求権の時効に注意
交通事故による損害賠償請求権には時効があります。
物損事故は事故発生翌日から3年、人身事故の場合は、後遺症がない場合は5年、後遺症がある場合は症状固定日から5年、死亡事故は死亡翌日から5年が時効となります。
事故の内容によって時効の起算点が異なるため、注意が必要です。
示談を相手任せにしない
示談交渉の多くは保険会社が相手となります。
被害者に過失がある場合は、加入している任意保険会社が示談交渉を代行してくれることが一般的ですが、被害者に過失がない場合、保険会社は法律上示談交渉に関与できません。
この場合、被害者自身が加害者や保険会社と直接交渉する必要があります。
相手側の提案に安易に同意すると、賠償金が本来の額よりも低く抑えられてしまう可能性があります。
特に、早期解決を求める保険会社から治療の打ち切りを提案されることがありますが、症状固定前に示談に応じると慰謝料が減少するリスクが高いため、治療が完了するまで示談に応じないことが大切です。
加害者側の保険会社や弁護士を相手に、被害者が自力で交渉を進めるのは難しいことが多いです。
もし示談がうまく進まない場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。
任意保険に弁護士費用特約がついている場合は、弁護士費用を保険でカバーすることができます。
加害者が無保険の場合

加害者が任意保険に未加入であっても、対人事故であれば自賠責保険によって最低限の補償を受けることができます。
ただし、自賠責保険は対人事故のみをカバーしており、物損事故には適用されません。
万が一、加害者が自賠責保険にも未加入の場合は、「政府保障事業」を利用することで、自賠責保険と同程度の補償を国から受けることが可能です。
この制度により、被害者は最低限の補償を確保することができます。